22aPS-60

 マグネタイトにおけるフェルベー転移の一軸圧効果

埼大理、東大物性研

清野俊明、原良平、小坂昌史、毛利信男、東堂栄A、上床美也A

Effect of uniaxial pressure on Verwey transition of magnetite

Saitama Univ. ISSP Tokyo Univ. A

Toshiaki Seino, Ryohei Hara, Masashi Kosaka, Nobuo Môri,

Sakae TodoA, Yoshiya UwatokoA

 

マグネタイト(Fe3O4)はスピネル型構造を持つフェライトの一種で120K付近において結晶構造変態を伴う金属―絶縁体転移(フェルベー転移)を示す。Rozenbergらが行ったダイヤモンドアンビルセル(DAC)による電気抵抗測定の実験は15.8GPaの超高圧力下でもフェルベー転移が存在することを示した[1]。それに対し、東堂らによるキュービックアンビル高圧発生装置による実験は8GPa以上の圧力でフェルベー転移が消失し、室温から低温までの全温度領域で金属化されることを示した[2]

今回我々はこの2つの異なる実験結果に着目した。静水圧力が等方的な圧縮を行うに対して、一軸性の圧力は特定の軸のみを圧縮する。そもそもマグネタイトの金属―絶縁体転移は試料内の残留応力や歪みに対して極めて敏感なことが知られている。このことからDACによる実験結果は一軸性の圧力が影響していると考えた。これを確かめるためにはより一軸性の強い圧力をかけて測定する必要があり、そのためにSQUID磁束計対応型直接加圧式一軸圧力発生装置およびセルを開発した。その装置を使い、東堂らにより育成された純良なマグネタイト単結晶に低温相への結晶変態に有利になるように一軸性の圧力をかけ、測定した。その結果を図1ならびに図2に示す。一軸圧の増加に伴い、磁化が減少し始める温度TV onsetは上昇し、一方で減少が終わる温度TV end of dropはほとんど変わらない。これらの結果と静水圧下の結果とを比較し議論する。

[1] G.K.Rozenberg et al., Phys.Rev. B53,(1996)

[2] Todo et al., J.Appl.Phys. 89,7347,(2001)